床 日々是好日
花 黒侘助
花入 箙
無一物。
「長次郎を見るならこの一盌」
と言われている程、長次郎の茶盌の代表とも言えるのが
「無一物」です。
生まれたばかりの赤ちゃんは何も持っていません。
そして死ぬ時も何も持ってはいきません。
本来、事物は全て空なのですから、執着すべきものも何もないのです。
それが「本来無一物」です。
その禅語が銘となっている「無一物」。
赤樂といっても、その膚はかせており、土そのもののような色味です。
箆で丹念にそぎ落とされた姿には
少しの誇張や遊びも一切なく、
まるで深い森の、土の中から生まれてきたままのようにも見えます。
この、究極にノイズを排除した、素直な存在。
「名碗を観る」の中で林家晴生先生はこれを「絶対値」という言葉で表現されています。
利休の茶が完成した瞬間を、この一盌に見て取ることが出来ます。
お稽古ではこの他に長次郎七首の一つである「東陽坊」も学びました。
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