4/17_19 misty moon

床 いつ暮れて水田の上の春の月 蒼虬 添書 大道老師

花 白山吹 一汐 花筏

花入 短冊花篭

 

今週は

乙亥会にもファンの多い(?)茶飯釜のお稽古でした。

(昨年の様子はこちらです)

 

単純に、ご飯が美味しいという楽しみもありますが、

茶飯釡の茶事を行うと

炭が如何に重要であるかを再確認できますし

何よりお米からご飯が炊き上がるのを心待ちにする、

その気持ちを全員で共有することは

正に茶席の心である「一座建立」を体感することでもあります。

そういった意味でも、毎年欠かすことのできない

有意義なお稽古であると考えています。

 

今年は組む炭の種類から工夫を凝らした結果

木曜、土曜共に

理想的な時間、理想的な状態でご飯を炊くことが出来ました。

 

また、炊き上がりを待つ時間、

これまでは自由に一首、俳句か短歌を作って頂いていましたが

今年は趣向を変え、床に掛けてある俳句に下の句をつけるという形を採りました。

 

 

いつ暮れて水田の上の春の月

 

に続く七・七とは。

 

社中皆様の作品を名前を伏せて下に一挙公開させて頂きます。

(お稽古では名前を載せたプリントをお配りします)

 


そぞろ歩きのつかれとけゆく
オタマジャクシも泳ぎはじめる
明日もにぎあうレンゲソウかな 
明日は何処へ川は流るる
まわる水車の音ののどけし 
朧なるかな父のおもかげ 
朱鷺の遊べる佐渡の里かな
いのち芽吹いてときを忘れる
ふと空見上げ背筋がのびる
ぐるり見晴らす山の端白し
ふる里想うわが心かな
蛙の声に急ぐ畦道
夕飯もどる童の笑い 
家に帰りてお月のお酒 
頬触れる風ちと暖かく
寝ぼけ蛙もうかれ騒ぐか 
田中の月とにらめっこ
いにしへの人想うぞうれし 
華燭の典は八日の後に
天体ショーは紅くあやしく
ままならぬままつきを待つ我 
流れるままに流されて今
いつぞいつぞと待ち人想ふ 
月夜に想ふ遠き故郷
水底ねむるは蛙のこども
おぼろげにしてさびしかりけり 
昔を想うふる里のいえ
われ子守にて知るよしもなし 
われ子守にて二人見上げる
風の囁き豊作祈る
なにごとにつけ事の始まり
あかいらんかんひとまようはし
家路急がむ土筆片手に 
朧に浮かぶ祖母の面影 
とってとせがむ子の手あたたか 
静寂(しじま)の闇を往く舟となり
去年(こぞ)の出会いやいまだあざやか 
おぼろに笑みてなつかしきかな

 

 

 

いつの間にか日が暮れて、水を張った田んぼに春の月が映っている。

 

この同じ光景からでも思い描くものは十人十色。

非常に個性豊かで、作者の人となりが表れています。

中でも「おぼろ」というキーワードが多いのは

当然「春の月=朧月」であるからですね。

 

非常に面白い試みでした。

次回も楽しみです。