11/28_30 第21回花の式


寄付 山水図 十二カ月 表裏 岡本豊彦

床 茶七律賦 帆足杏雨

花入 青磁 酒器

香合 倣 仁清 結文香合 横山

釜 大講堂釜 西村道也

炉縁 柿合わせ

水壺 古染付

茶器 古瀬戸 肩付 銘 羅漢

仕服 青木間道

棗 鎌倉彫 工藤文子

主茶盌 萩 銘 ゆきえい 十二代原陶兵衛

袱紗 扇手更紗

薄茶盌 久谷 黒唐草 美山堂

替 仁清写 干支黒釉色絵鱗 藤谷芳哉

茶杓 景色竹 銘 末廣 柳田増子

蓋置 七宝

建水 曲

濃茶 蓬莱の昔 一保堂茶舗

主菓子 鳳餅 薫風

器 蒔絵銘々皿 塗師 表寛

薄茶 宇文字 松倉茶舗

干菓子 鳳瑞 州浜

器 朱布張塗八寸盆

 

 

初めての花の式。

 

これまで社中のみなさまの趣向を凝らした花の式のお席に入らせていただき、

果たして私にもできるのであろうかと、そんなことを考えた日々でした。

 

それを助けてくれたのが母方の祖父と義母です。

特に祖父は、古いものを集めるのを趣味とし、我が家にもそのいくつがありました。

 

茶道にも通じていたようで、祖父が茶杓を自ら削っていたと聞いたのは、

母が亡くなった後、母の同級生からです。

 

軸は晦日の四日前に静かに茶をたてる様子が書かれたものです。

以前整理をしていた時に見つけていたもので、季節もあったことは本当にうれしいことです。

 

他に道具になるものはないかと納戸を探ってみると、

幼いころ馴染んでいたもの、またそうでないものが出てきました。

 

水壺の蓋を開けると、そこには私が小学生の頃制作したしたアップリケが。

幼いころの思い出が、いっぱいつまった水壺。

そして、見つけてくれてありがとう、と言っているようなお釜。

え?わたしを飾ってもらえるの?と驚いている古い山水画。等々。

 

どちらかといえば欧米のものを好んだ母が表舞台に出さなかった道具たち、

そのうれしい声が聞こえて来ました。。

 

茶入れやお茶椀は、二年前に義母から譲り受けたものを使わせていただきました。

義母は茶道を教えていたこともあり、

茶道を再開した私に託した道具がこんなに早く出番がきたことに喜んでいます。

棗はこの夏に亡くなった義母の姉制作のもの。

これを譲り受けた日に偶然叔母から電話があったことも思い出されます。

 

主菓子は、少しこだわりをもって、千駄木の薫風にお願いしました。

ここのオーナーは和菓子の世界では珍しく若手の女性です。

軸の内容に合わせ、また蒔絵の銘々皿にあうお菓子を考えていただきました。

 

銀杏餅、菓子名は軸の中にある通り、鳳餅としました。

 

干菓子は鳳瑞と州浜です。

鳳瑞は伝統のお菓子ですが、関東ではなかなか出会えないお菓子です。

 

茶懐石はいつものように社中で分担いたしましたが、

どれもみなさまのお心がこもったすばらしいものでした。

 

茶懐石がはじめてのみなさまは本当に良い経験ができたと感想をくださいました。

 

両日とも天候に恵まれ、お庭の待合を使わせていただき、

お花は青磁の花入れに合わせて、先生がさざんかを選んでくださいました。 

 

自身は茶道のたしなみがほとんどなかった母ですが、

私に茶道を習わせてくれたのもその母です。

そしてブランクの後、宗景先生に入門させていただき、

花の式という場で、その存在が気付かれていなかった道具たちがみなさまのお目に触れることができた、何とも不思議な気持ちです。

 

お道具ばかりでなく私自身も祖先からの歴史の中に存在していることをあらためて思った花の式となりました。

 

この度、茶入れに「羅漢」という銘を、

主茶碗に娘の名、幸英より「ゆきえい」という銘をつけさせていただきました。

 

祖父の言葉によると、古いものには「くらさび」があるそうです。

 

これらのお道具をまた子供たちへと繋いでいく大切な役割を感じております。

 

ここまで導いてくださった宗景先生、お力を貸してくださったみなさま、

そして先祖への感謝の二日間でした。

 

(以上 小杉さん感想)

 

 

 

21回目の花の式は、以前より茶道を嗜まれていた小杉さんが担当されました。

 

ご本人と、ご主人様の家に受け継がれてきたお道具の数々。

花の式という表舞台に上がり、見事に調和されていました。

ご本人の感想にもあったように、お道具達もさぞかし喜ばれていることでしょう。

 

歴史を経た、「くらさび」のお道具を沢山拝見できた今回は

正に花の式の王道を味わうことが出来ました。

 

今回使わせて頂いたことによって

また新たな思い出が刻まれたことを嬉しく思います。

 

お菓子にもこだわりが込められていて

新しさと時代の橋渡し役を務めていましたね。

 

有り難うございました。