床 窓下有清風
花 千日紅 京風車(日日草) 竜胆
花入 竹舟
今週は葉蓋を扱いました。
花入は、鎖を波に見立てました。
床に掛けた、中学二年の生徒さんの書が
とても清々しく、生命力を感じる筆でしたので、
(ギャラリーをご覧下さい)
それに相応しい花をと思い、赤い花を三種入れました。
その中で今回取り上げるのは竜胆です。
この品種は「桃ずきんちゃん」という、ネーミングに娘が一目ぼれして園芸屋さんで購入したもので、
淡いピンク色のものでしたが
本来は皆様ご存じの通り、濃い青色の美しい花です。
この澄み切った秋の空のように綺麗な花が何故「竜」の「胆」と書くのか、
色形からはあまり想像が出来ずに前から気になっていました。
調べてみると、
この竜胆の根や根茎は健胃薬として古来から活用されており、
エジプトでは紀元前180~67年に、ペストで苦しむ民を救ったという話もあります。
イリュリアの王であったジェンテウスは、領民がペストに苦しめられたので、山野にわけ入り、神に祈ったという。
「どうか特効薬をお教え欲しい」そう言って矢を放つと、リンドウ(竜胆)の根にささった。
それで薬用に用いたという。リンドウ(竜胆)の英名「GENTIANA」は、王ジェンテウスの名前から来てる。
ところがこの薬草、咬むととにかく苦いのだそうです。
中国で、同じく漢方として使われた熊の胆よりさらに苦いというので
竜の胆嚢という意味の竜胆(りゅうたん)の名が付けられ、
日本ではその竜胆「リュウタン」が転訛してリンドウ(竜胆)と呼ばれるようになった
…ということだそうです。
日本でも薬草としての歴史は古く、
この「りんどう」の呼び名が中国から入ってくる前は、
えやみぐさ(胃病み草/疫病草)とも呼ばれていたそうで、
平安時代に書かれた 「和名抄」 に登場しています。
万葉集には、思ひ草として書かれているのが今の竜胆であろうと言われています。
いくら胃に良いからといって、
胃病み草よりは思ひ草の方が可憐で素敵ですね。
思ひ草にはこんなエピソードもあります。
平安時代末期、源頼朝が狩りをしている時、花を持っている1人の少女に出会った。
頼朝が少女に花の名を尋ねると、
少女は万葉集の「道の辺の尾花がしたの思ひ草 今さらさらに何をか思はむ」
という古歌を引いて
「秋の野の 尾花にまじり 咲く花の 色にや恋ひん 逢ふよしをなみ」
と詠み、
「思ひ草と申します」
と答えた。
この少女が後に頼朝の妻となる北条政子だった。
この竜胆が後に源氏の主な家紋「笹竜胆紋」として伝わるようになった。
源頼朝は竜胆との縁が深く、いまも鎌倉市では市章に竜胆を用いています。
頼朝自身は源氏の棟梁として存在していたので、家紋があったわけではありません。
竜胆紋を用いたのは少し後のことになります。
ただ、竜胆がこの二氏にきわめて関係が深いので、源氏の氏紋・代表紋とみている人も多いそうです。
色形から紋になり、茎や根は薬になり、
日本に古くからある花は調べれば調べるほど奥が深いものですね。
参照・引用元
リンドウの花物語&花言葉
http://hanabatake.moo.jp/monogatari/aki/ronndou.htm
花々のよもやま話
http://plumkiw948.at.webry.info/201209/article_17.html
家紋の由来_竜胆紋
http://www.harimaya.com/o_kamon1/yurai/a_yurai/pack2/rindo.html
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