手製和菓子帖(其の十)―下萌え―

完全に独学の和菓子制作も十作品目になりました。

 

今年に入り、社中の森さんから干し柿を頂きました。

家に柿の木があるそうで、そこになった柿から作られたとのこと。

そのままでも十分美味しいのですが、そこからお菓子を作らせて頂きました。

 

干し柿を細かく刻み、白餡と和えます。

時間が経つと柿が餡の中に溶け、きれいな橙色の餡になります。

それを淡く水色で着色した道明寺で包みました。

 

『和菓子の甘さは干し柿をもって最上とする』

つまり、和菓子は干し柿の甘さを超えてはならないと言われています。

ですから今回も極力味の添加を抑え、大切に育てられた柿の甘さを純粋に味わって頂くようにしました。

 

溶けかかる雪の下から、新しい生命力がうっすら顔を覗かせる。

そんな春の息吹を表現したつもりです。

 

節分を終えると立春。

春はもうそこまで来ています。