5/17_19 for the golden ring eclipse

金環日食を前に        平成二四年五月十七/十九 

 

床  壱〇九糎の円相 

花  琉球月見草 覆輪蔓桔梗 姫桧扇 小判草 野蒜 

花入 三角口 青磁曽呂利 

香合 螺鈿 出船図

棚  丸卓  飾 一糎の地球と月

水壷 志野 宏

茶碗 土耳古国旗 森岡嘉祥

 

地球 アマゾナイト

月  真珠

太陽 画用紙にアクリル絵の具

 

 

1cmの地球と月と太陽の設えは二度目です。前回は平成八年十月でした。

宮沢賢治を勉強していた時で、

「生徒諸君に寄せる」を読みました。

(下に抜粋して載せます)

地球を1cmとした時、月は0.25cm、太陽は109cmです。

地球から月までを1とした時、太陽までは394になります。

茶席ではこの縮尺をほぼ忠実に再現しました。

(地球、月の写真はギャラリーをご覧下さい)

 

乙亥会のお稽古では趣向が個性的になることがありますが

その中でも1位2位を争う変わった席かもしれません。

 

地球と太陽の大きさ、距離、そして宇宙の広がり。

そういったものに想いを馳せると自分を忘れることができます。

 

この奇妙な席の設えが禅における“無性”や“宇宙我”を感じられるきっかけになればこれほどうれしいことはありません。

 

 

 

 

仏教や禅で説く“無性”とは、決して「何もない」という意味の“無”ではありません。実をいうと、無ほど「大きなもの」ではないのです。

 どんな大きなものでも、形を持つものには限界がありますが、もともと形のないものには限界がありません。無ほど、ゼロほど、大きなものはないというわけですね。“自性”が“無性”ということは、“自分”というものは、宇宙一杯に広がるほど“無限に大きなもの”であるということです。

 つまり白隠さんは、“直に自性を証すれば”そういう“宇宙我(大我)”に気づく筈だと言われているのです。    (茶道雑誌五月 P40

 

 

生徒諸君に寄せる 宮沢賢治 

()

新たな詩人よ
雲から光から嵐から
透明なエネルギーを得て
人と地球によるべき形を暗示せよ

新しい時代のコペルニクスよ
余りに重苦しい重力の法則から
この銀河系を解き放て

()

新しい時代のダーヴヰンよ
更に東洋風静観のキャレンヂャーに載って
銀河系空間の外にも至り
透明に深く正しい地史と
増訂された生物学をわれらに示せ

()

潮や風……
あらゆる自然の力を用ひ尽くして
諸君は新たな自然を形成するのに努めねばならぬ